ひとりごと「ドイツ語版」

 この夏に投稿した小説「仏教のながれ」に加筆・訂正して下記の通りアマゾンから出版しました。偶然11月10日が発行日となりました。

 「仏教のながれ」絵描き屋 Yoshimi 著

 さて、こんどはこの小説をドイツ語に翻訳して出版することにしました。ドイツのホストファミリーが知っている単語は「仏教」と「お釈迦様」の二つだけ。それ以上、仏教についての知識がありません。そのため、仏教用語は使えず相当噛み砕いた文章に手直ししなければなりません。そうでないとドイツ人翻訳者も誤訳してしまいます。前回も翻訳を依頼した優秀なドイツ青年ですので誤訳はありませんが、私の意図するように翻訳されてないと修正が大変です。というのも、私は前回と同様に翻訳されたドイツ語を一字一句確認するからです。

 ドイツ人でも理解できるよう集中して原作を書き改めますので投稿をしばらく休みます。

ひとりごと「転機」

 10年以上、毎日同じことの繰り返しで製造会社に勤めていた。本当は毎日同じことの繰り返しではなく、毎日いろいろな事が起きていたのだが小さな職場の中の小さな出来事に埋没していたのだ。

 チャンスがあってヨーロッパへ研修旅行に出かけた。初めてジャンボジェット機に乗り、アラスカのアンカレッジ経由でロンドンのヒースロー空港に向かった。ヒースロー空港が近づくとジェット機は徐々に高度を落としてゆく。窓から眼下を見ると緑の中に所々マッチ箱のような家々が見えた。突然、私の頭の中で喜びの衝撃が走った。「これが外国の風景だ。遂に海外へ来たのだ」

 ロンドン、パリ、フランクフルト、ローマと4都市を10日間で駆け回った。たったこれだけのことなのに私の世の中を見る目が変わった。俺は今まで日本の一つの会社のそれも職場という狭い世界に生きてきた。日本以外にも外国という世界があり、まさに世界は大きく広がっているということを身をもって体感した。これが転機となって私の新しい人生が始まった。

 それから3年後、私は会社を辞め、一年間、妻子を日本に残して西ドイツ(当時)へ留学した。

ひとりごと「悲痛な出来事」

 それは長男が小学校へ入学して間もなくの事だった。普段は元気な子であったが集団の中でおたふく風邪にかかってしまった。それほど寝込むこともなく回復したのだが、一週間ほどして家に電話した際、息子が「聞こえないよ」と言う。電話を妻に代わって確かめたところ右耳が聞こえなくなっていた。そう言えば、おたふく風邪で熱っぽいとき「耳がうるさい」と言っていた。慌てて、病院に行かせ大学病院にも通わせた。耳に刺激を与えるような治療が施された。

 一週間ほどして医師から「左耳を大切にしてください」と残酷なことを告げられた。医者は治せないのか…。天を仰ぐような思いと絶望感に打ちのめされた。本には、おたふく風邪で2万人に一人が片耳が聞こえなくなると書いてあった。例え2人に一人でもなんで俺の息子なんだ。代われるものなら代わりたい。私はエゴイストのかたまりとなって医者の無力を恨んだ。そうして医者を信じなくなり医者嫌いとなった。

 息子のテレビを観るときの音量が大きいことで、片耳が聞こえないせいだと気が付いた。それで小学校、中学校、高校と必ず担任の先生に会って一番前の席に座れるよう頼んだ。その通りにしてくれる先生もいればしてくれない先生もいた。それ以上は口出しできない。また、耳のことで息子がいじめられないかと心配し、息子のことは常に注意して見守った。今はともかく普通の社会人に成長した。

 おたふく風邪には予防ワクチンがあります。接種させてください。親の責任です。我が家の次男には接種しました。長男のことは返す返すも残念です。