小説「仏教のながれ1」その3

 お釈迦様は菩提樹の下で成道してから42年後、72歳から法華経を説かれました。お釈迦様は法華経の序文である無量義経説法品第二の中で「四十余年。未顕真実」と説かれました。これを聞いた弟子たちは腰を抜かさんばかりに驚きました。今までの四十年余り未だ真実を顕していないと説かれたのです。つまり成道してから今まで真実をあらわしていないと説かれたのです。
 そうして、いよいよお釈迦様は法華経を説き始めました。この法華経では悪人も女人も成仏できる、二乗も成仏できると説かれました。今までは悪人も女人も成仏できない、二乗も成仏できないと説かれていましたので弟子たちはまたまた驚きました。なお、二乗とは部分的な覚りを得て、その低い覚りに安住して他人を救おうとしないエゴイズムにおち入り、お釈迦様の真実の覚りを求めようとしない者のことをいいます。ともかく、弟子たちは如是我聞として教えを暗誦してゆきました。(続く)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA