小説「仏教のながれ2」その1

 正法、像法、末法といっても我々にはこの時代感覚がわかりません。そこで西暦に置き換えて参考にしたいと思います。お釈迦様がご入滅されましたのは紀元前949年になります。それで計算しますと正法時代は西暦51年まで、像法時代は西暦52年から1051年となります。末法の始め「後の五百歳」は西暦1052年からとなります。

 さて、物語は像法時代のことでございます。華北に隋という国がありました。シルクロードを通って命がけで天山山脈を越えお釈迦様の教えを求めた僧によりお釈迦様の説かれた年代や背景を無視してばらばらにたくさんの経文が持ち込まれました。それらの持ち帰られた経文はことごとく漢訳されました。それぞれの経文によりそれぞれの宗派やお寺が建てられました。お釈迦様の真意がどの経文にあるのかなどわからなくなってもいました。もちろん、命を懸けて持ち帰ってきた経文であればなおのこと、その経文こそお釈迦様の真実の教えだと主張したいのは無理もないことだと、ご同情申し上げます。しかし、それで良いはずはございません。(続く)

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