小説「仏教のながれ2」その6

 空海の乗った船は明州よりずっと南の赤岸鎮というところにたどり着きました。空海はここから唐の都(みやこ)の長安へ行きました。空海は長安で当時流行っていた新しい仏教である密教を学ぶことにしました。空海が密教のことを事前に調べると梵語(サンスクリット語)がかなり使われているのが分かりました。そこで空海は豊富な財力を使い多額の布施をしてまずインド僧の般若三蔵(はんにゃさんぞう)に師事をしました。空海は非凡な才能でもって梵語と漢語を短期間で自在に読み書きできるようになりました。

 そうした後、真言密教の最高峰と呼ばれた青龍寺の恵果和尚に学びました。空海はここでも豊富な財力を使い恵果和尚に多額の布施をし、先輩にも後輩にも気を配りました。もちろん、空海は気配りだけの僧ではなく、恵果和尚も先輩も後輩も空海の才能の凄さに驚きました。ものすごい勢いで密教の教義を修得してゆくのです。空海はさらに財力をふんだんに使って医術、薬学、土木など他の学問も精力的に学びました。まるでやり手の多角経営のビジネストップのように貪欲に吸収してゆきました。(続く)

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