小説「仏教のながれ2」その10

 空海が飲ませた薬は唐から持ってきた薬で、薬など飲んだことのない村人ですから即座に効果があったものと思われます。こうして、村人はもちろん近隣の村々にも空海上人のことが知れ渡りました。空海伝説の始まりです。

 空海は唐から持ち帰った書物の医術と薬草の知識をまるごと記憶して居りましたので、旅の道すがら薬草を摘んでは次の病気平癒(へいゆ)の準備もして歩きました。

 また、雨乞いの祈祷をお願いされることもよくありました。空海は目指す村へ入る前に例によって弟子たちに村の様子を調べさせました。その村の問題が日照りである場合、直ぐに村へは入らず「観天望気(かんてんぼうき)」の知見に従いました。観天望気とは、自然の現象や生物の行動の様子などから天気の変化を予測することです。

例えば、生物からは、「ハチが低く飛ぶと雷雨」、「カエルが鳴くと雨」などです。(続く)

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