小説「仏教のながれ2」その18

 ここに新興宗教のいかがわしさが現れています。「わたしは秘密の教えを伝授された」とか「わたしは密教の奥義を体得した」と自己申告し、その内容を問われても秘密の教えであるとするので検証の余地がありません。こうして一通りの加持祈祷の儀式を行うことにより偉いお坊さまとしてお布施をいただきお金儲けをするのです。

 これはこの時代だけのことではありません。日本の戦後もたくさんの新興宗教が現れては消えて行きました。お釈迦様の経文の裏付けがなく、ある日、突然、悟りを得たという自己申告による仏教の教祖も多く出ました。人の弱みにつけ込む自己申告者の教祖には最大の注意が必要であります。また、スピリチュアルなどの霊能者も自己申告であり、これを信じるなど本当は恐ろしいことであります。

 信者に寄付させてお金を巻きあげ、信者を破産に追い込んだ教会団体がありました。これらのトラブルから手製の銃で元首相を銃撃して死亡させるという痛ましい事件が起きました。

 お釈迦様は涅槃経に「法に依って人に依らざれ」と説かれました。意味するところは、法を根拠にすべきであって人の言に依(よ)ってはならないということでございます。つまり、法のごとくでないならば、親切な人、偉い人、教祖であっても信用してはならないと説かれています。(続く)

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