小説「仏教のながれ5」その16

 日蓮は立宗宣言してから、東条景信に危害を加えられそうになり、鎌倉の松葉ヶ谷では草庵を襲われた(松葉ヶ谷の法難)。翌年、鎌倉に戻ったところで捕らえられ、伊豆へと流罪されました(伊豆流罪)。安房国の門下の所へ向かう途中、白昼堂々と東条景信に襲撃され、額(ひたい)に傷を負い、左手を骨折されました(小松原の法難)。そして竜の口の刑場で頸(くび)を切られそうになりました(竜の口の法難)。その後、今度は佐渡へ流罪されます(佐渡流罪)。

 お釈迦様は末法で法華経を弘教するものは、刀で切られたり、杖で打たれたり、しばしば追放・流罪されたりすると説かれました。日蓮はその上、頸を切られようとしたのです。この法難も勝ち越えました。末法に入って219年目の出来事であります。

 今年は2022年なので末法に入って970年、日蓮を除いて法華経の行者として、これ程の法難を受けて法華経を身(み)で読んだかたがいたでしょうか。思い当たりません。

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