小説「仏教のながれ6」その4

 弘安2年(1279年)10月1日、日蓮大聖人が著(あらわ)された聖人御難事で立宗以来、二十七年目にして大聖人自身の「出世の本懐(ほんかい)」をとげられことが示されています。「出世の本懐」とは、この世に出現した目的という意味です。

 熱原の法難は民衆が受けた難であり、大聖人の仏法が民衆に受け継がれたことにより、日蓮大聖人の生涯をかけた根本目的「出世の本懐」を達成されたのです。

 日蓮大聖人は、民衆が大難に耐える信心を確立したことを感じられ、御本仏として御自身の仏界の生命を一幅(いっぷく)の曼荼羅(まんだら)にあらわされました。

 経王殿へのお手紙には「日蓮がたましいをすみにそめながして・かきて候ぞ信じさせ給え」と日蓮大聖人が墨で書かれた曼荼羅について触れておられます。

 この曼荼羅は、凡夫の我々が日蓮大聖人と同じく、南無妙法蓮華経と唱えて我が身に仏界の生命を体現させることのできる本尊ということです。御本尊とも呼ばれます。

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