ひとりごと「悲痛な出来事」

 それは長男が小学校へ入学して間もなくの事だった。普段は元気な子であったが集団の中でおたふく風邪にかかってしまった。それほど寝込むこともなく回復したのだが、一週間ほどして家に電話した際、息子が「聞こえないよ」と言う。電話を妻に代わって確かめたところ右耳が聞こえなくなっていた。そう言えば、おたふく風邪で熱っぽいとき「耳がうるさい」と言っていた。慌てて、病院に行かせ大学病院にも通わせた。耳に刺激を与えるような治療が施された。

 一週間ほどして医師から「左耳を大切にしてください」と残酷なことを告げられた。医者は治せないのか…。天を仰ぐような思いと絶望感に打ちのめされた。本には、おたふく風邪で2万人に一人が片耳が聞こえなくなると書いてあった。例え2人に一人でもなんで俺の息子なんだ。代われるものなら代わりたい。私はエゴイストのかたまりとなって医者の無力を恨んだ。そうして医者を信じなくなり医者嫌いとなった。

 息子のテレビを観るときの音量が大きいことで、片耳が聞こえないせいだと気が付いた。それで小学校、中学校、高校と必ず担任の先生に会って一番前の席に座れるよう頼んだ。その通りにしてくれる先生もいればしてくれない先生もいた。それ以上は口出しできない。また、耳のことで息子がいじめられないかと心配し、息子のことは常に注意して見守った。今はともかく普通の社会人に成長した。

 おたふく風邪には予防ワクチンがあります。接種させてください。親の責任です。我が家の次男には接種しました。長男のことは返す返すも残念です。

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