小説「仏教のながれ3」その5

 仏教のながれ2では、末法における二つの推測をいたしました。一つ目はお釈迦様の白法が隠れ没したのちに大転換をもたらす大白法の出現、二つ目は地涌の菩薩の活躍です。末法に入って970年たった現代人としての視点からこの推測を確認して参ります。

 まずは、原点に戻って法華経からそのヒントを探して参りましょう。「法華経」とは、原語であるサンスクリット語では「サダルマ・フンダリキャ・ソタラン」であり漢語に直訳すると「白蓮のごとき正しい教えの経」となります。鳩摩羅什(くまらじゅう:漢訳者)はこの経典の全体が秘めている哲理を示す題号とするため「妙法蓮華経」と漢訳されました。以下、法華経の現代語訳を引用します(「法華経現代語訳」三枝充悳著)。

小説「仏教のながれ3」その4

 そして著者は仏教の唯識思想の「阿頼耶識(あらやしき)」に言及され、「この阿頼耶識には、過去のすべての結果であり、未来のすべての原因となる種子が眠っているとされている」と紹介されています。著者のまことに深い洞察と思います。付け加えますと第八識の阿頼耶とは蔵(くら)のことで、一切法を含蔵するので蔵識といい、一切の現象を生ずる根源となる識であります。この第八識があらゆる存在を可能とする種子を貯蔵しているので一切種子蔵ともいわれます。

 西暦2022年に生きる現代人は、阿頼耶識で説明されるよりゼロ・ポイント・フィールドで説明される方が理解しやすいと思います。それで、最先端科学の仮説ではありますが、以降、ゼロ・ポイント・フィールドで第八識を説明させていただきます。なお、第九識はあとで説明しますので、今は第九識もあると記憶に留めていただきたく思います。

小説「仏教のながれ3」その3

 なぜかと申しますと、著者は「これまで提唱されてきた様々なコミュニケーション論や深層心理学、宗教学、最先端科学の知見を参考」に著書を展開され、著者の力量を大として現代語でわかり易く説明されています。なお「運気を磨く」は、著者の体験と深い思索により書かれたもので凄い内容です。著者をリスペクトすると共に是非読まれることをお薦めいたします。

 著者は、個人的な無意識の世界と集合的な無意識の世界から「超時空的な無意識の世界」の存在を明かしておられます。そこで、著者は最先端の科学の知見として「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」を紹介されました。この仮説において「ゼロ・ポイント・フィールドには、この宇宙の過去、現在、未来のすべての出来事の情報が記録されている(運気を磨く94頁)」ということです。