小説「仏教のながれ2」その2

 そうしたところ6世紀になり天台大師という僧が現れました。天台大師は膨大な経文をひとつひとつ調べ、お釈迦様の経文のどれが高い教えか低い教えか浅い教えか深い教えかと経文を論理的に構成し整理してゆきました。そうしてお釈迦様の一切の教えを法華経を中心にして統括し法華経を依経とする天台法華宗を成立させました。なお、天台大師は天台山に住んでいたのでそう呼ばれました。

 天台大師はお釈迦様の一切経の高低浅深を分別するため五時八教を説かれました。当時、仏教の宗派は揚子江を中心にして南の三つと北の七つとがありました。それで天台大師はいわゆる南三北七の十人の僧の邪義を論破しました。すなわち、天台大師は五時八教を立て、法華経第一、涅槃経第二、華厳経第三と立てて法華経の正義を宣揚されました。(続く)

小説「仏教のながれ2」その1

 正法、像法、末法といっても我々にはこの時代感覚がわかりません。そこで西暦に置き換えて参考にしたいと思います。お釈迦様がご入滅されましたのは紀元前949年になります。それで計算しますと正法時代は西暦51年まで、像法時代は西暦52年から1051年となります。末法の始め「後の五百歳」は西暦1052年からとなります。

 さて、物語は像法時代のことでございます。華北に隋という国がありました。シルクロードを通って命がけで天山山脈を越えお釈迦様の教えを求めた僧によりお釈迦様の説かれた年代や背景を無視してばらばらにたくさんの経文が持ち込まれました。それらの持ち帰られた経文はことごとく漢訳されました。それぞれの経文によりそれぞれの宗派やお寺が建てられました。お釈迦様の真意がどの経文にあるのかなどわからなくなってもいました。もちろん、命を懸けて持ち帰ってきた経文であればなおのこと、その経文こそお釈迦様の真実の教えだと主張したいのは無理もないことだと、ご同情申し上げます。しかし、それで良いはずはございません。(続く)

独り言「デジャブ感」

 第二次世界大戦のキッカケになったデジャブ感があります。

 リトアニアがロシアの飛び地であるカリーニングラードへの鉄道輸送に制限をかけたのです。

 カリーニングラードは戦前はドイツの飛び地でケーニヒスベルクと言いました。戦後、ソ連が奪ったのです。

 ヒットラーはポーランドに対し、ドイツの飛び地であるケーニヒスベルクへ高速道路を建設させてくれと要求しました。これに対し、ポーランド政府はイギリスとフランスがいざとなったらポーランドを守ると約束していたので強気でヒットラーの要求を撥ねつけました。ヒットラーは激怒し1939年9月1日にポーランドに侵攻して第二次世界大戦が始まりました。

 さて、ロシアの飛び地であるカリーニングラードへはリトアニアを経由する鉄道輸送で住民の生活を維持しています。また、ロシアの軍港もあります。今回、リトアニアはこの鉄道輸送に制限をかけました。その結果、ロシアのPが激怒しリトアニアに侵攻する懸念があります。侵攻すれば、それはリトアニアがNATOの加盟国なので第三次世界大戦のキッカケになることが想像できます。憂鬱な心配。