小説「仏教のながれ6」その16

 さて、2022年8月30日にゴルバチョフ元大統領が逝去されました。元大統領は何度もの長時間にわたる対話により東西冷戦を終結させています。

 この時に起こったベルリンの壁崩壊を筆者は西ドイツに留学していて間近で見ていました。ベルリンの壁崩壊後の東ドイツは先の見えないまま混沌とした状態でした。ここにも、イギリスのサッチャー首相や隣接国による強烈なドイツ再統一反対に対し、西ドイツのコール首相の精力的な各国首脳との対話がありました。翌年、東ドイツが西ドイツに吸収される形でドイツ再統一がされています。

 各国の首脳による対話、そして市井(しせい)の一対一の対話、対話こそが信頼をはぐくみ、不可能の壁を打ちくずし、人類の悲願である戦争のない平和を打ち立てる叡智(えいち)のいとなみであると思います。(終わり)

小説「仏教のながれ6」その15

 なお、創価学会のことは「人間革命」池田大作著全12巻、「新人間革命」池田大作著全30巻に詳しいので必要であればご参照ください。

 2022年において、お釈迦様が法華経に説かれたとおり、末法において法華経を弘教しているのはどこでしょう。創価学会しか思いあたりません。創価学会のホームページによりますと日本には827万世帯の会員がいます。海外はSGI(Soka Gakkai International )として192ヵ国・地域に280万人の会員を有しています。このことは日蓮仏法の本源的な平等思想、普遍的な絶対価値が世界各国の民衆に受け入れられたものと思います。

 お釈迦様のご予言は当たったのでしょうか。日蓮大聖人は諸法実相抄(しょほうじっそうしょう)で「広宣流布の時は日本一同に南無妙法蓮華経と唱えん事は大地を的(まと)とするなるべし」つまり弓矢で放った矢が地面を的としているようなものであると弟子を励まされています。師の励ましに対して、弟子は、必死になって予言の実現に奮闘していることと思われます。

小説「仏教のながれ6」その14

 日興上人は、後世のために「日興遺誡置文(にっこうゆいかいおきぶみ)」を残されています。それには「時の貫首(かんず)たりといえども、仏法に相違して己義を構えば、これを用うべからざること」とされ、貫首すなわち法主が誤りを犯すことを想定されていました。話し合いや法論を避けるのは、都合が悪くなるからでしょう。時代が変わっても構図は同じです。

 破門だなんて時代錯誤もはなはだしい幼稚な発想です。だが、これによって法主が書写した御本尊を創価学会員は受けられなくなりました。卑劣な仕打ちです。

 しかし、創価学会は平成5年(1993年)に日寛(にちかん)上人書写の御本尊を全世界の会員に授与していくことを決定しています。これで、創価学会は日顕から解放され、存分に世界への広宣流布を展開することができるようになりました。創価学会が設立当初から宗門とは別の宗教法人であったことには深慮(しんりょ)があったものと思われます。