小説「仏教のながれ1」その2

 そんなこともありお釈迦様はもっとやさしい身近なところから譬喩(ひゆ)を用いて仏教の教えを説くことにしました。いわゆる方便(ほうべん)を用いてたくみに説きました。そこには地獄という怖い話しや極楽というみんなが望むような話しもありました。そうして仏教を信じる人々が徐々に増えて行きました。
 お釈迦様は決して山谷にこもっていたのではありません。お釈迦様は、病人のところへも、貧乏人のところへも、お金持ちのところへも、困っている人々のところへも分け隔てなく訪ね歩き、その人に寄り添って仏教を説いてまわりました。こうして釈迦教団として大きく仏教は広がりました。(続く)

小説「仏教のながれ1」その1

 お釈迦様は苦行を含めた数々の修行の末、菩提樹の下で悟りの境地を開かれました。それはそれまでのバラモン階級を中心としたバラモン教とは全く異なりカースト制度という厳しい身分の差別をなくした仏教という教えでした。お釈迦様は悟られた教えを身近な人々に説き始めました。人々は一体どんな教えかと興味津々教えを請いました。

 お釈迦様は喜んで人々に教えを説きました。ところが人々はその教えが難しくて一人去り、二人去り、みんなにその教えはなかなか受け入れられませんでした。それでも弟子ができ、弟子たちはお釈迦様の説く尊い教えを暗誦(あんじゅ)してゆきました。弟子たちは「如是我聞」と言って「かくのごときをわれ聞きき」としてお釈迦様の教えを伝えてゆきました。(続く)

独り言「図書館」

 予約しておいた本が用意できたとメール連絡が入っていたので受け取りに図書館へ行きました。
 私が初めて図書館に行ったのは中学生のときで、同級生に誘われ品川図書館へ行きました。いろいろな中学校の生徒が来ていて少しずつ話が弾んで館員に「シー」と注意されることが日常で楽しい時間を過ごしました。私は浮世絵に凝っていてノートにサラサラと鉛筆で模写をしていました。乳房を出した美人画を模写したところ、女生徒から奇人扱いされました。自分では上手く模写できたと思っていたのですが…。
 きょう行った図書館にはたくさんの人が来ていて、コロナ禍で席を一席づつ空けていることもあり満席でした。それで図書館前の広い廊下にちょうど本が置ける出っ張りのある窓際がありそこに立って勉強している女生徒が一人いました。勉強に集中しながら右足の靴を足先で器用に引っ掛けてもてあそんでいる後ろ姿がとても可愛く「頑張れよ」と声をかけたくなりました。でも、声をかけたら変なおじさんになってしまいます。素通りして予約した本を受け取り帰ってきました。