詩「お雛さま」

駅からの帰り道
春一番がわたしの髪を舞いあげる
片手で髪をおさえつつ
ふと見あげれば細い三日月
瞼を閉じたよう 安眠をお約束

わたしの部屋にはお雛さま
ことしは 男雛 女雛そして三人官女
お道具やお飾りは省いています
父と母 毎年飾ってくれたお雛さま
わたしのお雛さま 悲しいことにありません

いくとせの空白の時
いまのお飾りは二度目のお雛さま
セカンド・ヒナと名付けています
あしたは大安 いい日を選んでお片付け
晴れた日になることを祈っています

雑感「改札口」

 きょうは3月3日の雛祭り。ここのところ暖かい日が続いています。東急東横線、武蔵小杉駅南口の改札、自動改札機が6台並んでいます。改札の左側には切符の自動販売機。切符を買う人は少ないでしょうね。ほとんどがパスモかスイカで改札を通っています。また、改札の右側は銀行のATM。人通りの多いところで使用する人の気が知れません。なんでも自動の機械で済ますこと味気ないのです。
 タワーマンションが林立する武蔵小杉駅周辺の昼下がり。改札口は帰宅する男子と女子の高校生たちでにぎやか。まだ来ぬ友人を待ってるようで複数のグループがペチャクチャ楽しそう。
 さて、わたしは帰宅してティータイム。ティファールでお湯を沸かし、マグカップを温めてお湯を注ぎ、ティーバッグをちゃぽんといつものルーティーン。そしてタイマーで3分。お気に入りはアッサムティー。甘いもの好きのわたしは買っておいた「ひなおこし」をいただきます。iPad から流れる曲は、来生えつこ作詞、来生たかお作曲の「シルエット・ロマンス」。来生たかおさんの声に恋心が刺激されます。

独り言「飛行機」

 ずいぶんと昔のことになります。純正律で調律されたバイオリンのCDを聴いたとき「あ、この曲いいな」と感じたのが「ひこうき雲」でした。それから、ユーミンの歌を聴いてやっぱりいいなと思った。さらにジブリ映画「風立ちぬ」のアニメで流され、あらためて空に憧れていたんだなあと思い出した次第です。
 1985年(昭和60年)の夏、会社の研修旅行でヨーロッパへ初めて飛行機に乗ることになった。私たちが研修へ出発する前、8月12日の夕方、羽田空港を出発した大阪行きの日本航空123便が行方不明となった。夜間ということで翌日に捜索が開始され、結局、乗客乗員520名が亡くなった。日本航空123便墜落事故として記録されている。
 一週間後、私は初めて飛行機に乗れるということで、ほとんどこの事故のことは頭になく、成田空港から日本航空のジャンボジェット機に乗りアンカレッジ経由でイギリスのヒースロー空港を目指した。空港に近づくと飛行機は徐々に高度を下げて行き、窓から空港近くの家々がマッチ箱のように見えた。その瞬間「異国に到着だ」と電撃に撃たれたように全身へ喜びが走った。飛行機がヒースロー空港に無事着陸すると拍手が誰からともなくわき上がった。みんなは日航機墜落事故のことを思い浮かべていたのだ。私は不覚にも喜びが勝りそのことを忘れていた。私にとって飛行機は強い憧れであった。