短編小説「ヘリポート」

 妄想癖のある72歳の僕にも夢がある。もちろん十代や二十代の若者みたいな将来に向けた大きな夢ではない。都会の真ん中の家の庭にヘリポートを作りたいのである。ヘリポートは20m×20mのスペースがあれば誰でも作れるようである。確保したスペースに丸にHのヘリポート記号を設ける。
 僕は気軽にヘリコプターに乗って都会を見おろしたり、移動したりする。もちろん誰にでも利用してもらいたい。ドクターヘリに利用されたら嬉しくなる。ドクターヘリで思い出したが映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」の病院にヘリポートを作るシーンがあった。有効活用されたらいいな。でも都会の真ん中ではご近所から騒音で文句を言われそうだ。
 夢と妄想の境界にいる僕は住んでいるマンションの窓からぼんやりと青空を眺めていた。

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