小説「仏教のながれ1」その5

 法華経は漢訳のほかチベット語訳、蒙古語訳、満洲語訳、仏文訳、英文訳、和文訳などの訳文があります。現存する漢訳は「正法華経」「妙法蓮華経」「添本妙法蓮華経」の三つで、鳩摩羅什訳の「妙法蓮華経」が最も優れた翻訳として広く用いられています。この鳩摩羅什は死に際し人々に次のように語ったといわれます。「自分は暗愚であって、しかも不浄の身をもって訳経した。自分が死んだら必ず火葬にせよ。もし、仏法の所伝に誤りがないならば、身は焼けても必ず舌は焼けないであろう。もし舌が焼けたならば、我が訳経も捨てよ」そして死んだ後に火葬にしたところ、舌のみが焼けずに火中の青蓮華の上に遺って、夜中に五色の光を放ったと伝えられています。(続く)

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