小説「仏教のながれ2」その20

 ここで、鳩摩羅什(くまらじゅう)が漢訳した「妙法蓮華経(略して法華経)」について少々述べさせていただきます。言うまでもなく法華経は二十八品から成り立っております。「品」とは現代では「章」のことで要するに法華経は28章で構成されています。以降、鳩摩羅什が漢訳した法華経を引用する場合は「妙法蓮華経」と書かせていただきます。

 妙法蓮華経序品第一において、冒頭に「如是我聞」とあります。すでにご承知の通り「是くの如く我聞きき」、すなわち「このように我は聞きました」ということでございます。

 妙法蓮華経方便品第二において、冒頭に「その時にお釈迦様は思索からゆったりと厳かに起って舎利弗に告(つ)げられました」と深い思索のあとはじめて口を開かれました。

 これは驚くべきすごいことでございます。今までお釈迦様は人々に寄り添い質問に答えて説いてきましたが、今回は誰びともお釈迦様に質問しないのに自ら説き始めたのでございます。これを「無問自説」と称します。なお、舎利弗(しゃりほつ)はお釈迦様の十大弟子の一人でございます。(続く)

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