小説「仏教のながれ4」その2

 「一心」とは一つの心という意味です。「十の法界」とは、地獄界(じごくかい)、餓鬼界(がきかい)、畜生界(ちくしょうかい)、修羅界(しゅらかい)、人界(にんかい)、天界(てんかい)、声聞界(しょうもんかい)、縁覚界(えんがくかい)、菩薩界(ぼさつかい)、仏界(ぶっかい)のことです。つまり、一つの心には十の法界を具えており、さらにそれぞれの法界に十の法界を具えているので百の法界になります。これらのことを算数のかけ算の式で表わすと10法界×10法界=100法界となります。そしてそれぞれの法界には三十種の世間(せけん)を具えているので三千種の世間となります。つまり、一瞬の心(一念)に三千種の世間があることになります。このように天台大師は、「魔訶止観」において、一念三千の観念観法を確立しています。

 なお、三十種の世間(10如是×3世間)についてはややこしくなるので説明を省略します。

 十の法界、百の法界についてもう少し説明を加えます。十の法界は十界(じっかい)ともいわれます。十界とは、生命の境涯、状態を十種に分類したもので、仏法の生命観の基本となります。

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