ひとりごと「親になって」

 東京の大田区に鵜の木という多摩川沿いの街がある。長男が三歳のころ多摩川の堤防を兼ねた遊歩道の脇にあるアパートに住んでいた。アパートからすぐの遊歩道に出ると、眼下に広いグランドがあり、その先に多摩川が流れ、さらに向こう岸から川崎の街並みが見える。

 夕方、会社から帰宅してくる私を長男が見つけると、一目散に私に向かって駆け出してくる。私はしゃがんで両手を広げ、勢いよく飛び込んで来る息子を抱き止めた。父親としての幸せの瞬間である。子を思う親心を噛み締めた。

 この時のことを思い出し、父の晩年、母の晩年、もっともっと優しく接すれば良かったと悔やまれるこのごろです。

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